1.介護は、一人で抱え込まない「チーム戦」
介護が始まると、「自分がすべて担うもの」「一日の時間を丸ごと取られてしまう」と思っていませんか?実はその思い込みが、介護と仕事を両立するという選択肢を排除し、視野を狭めてしまっているかもしれません。
実際、介護とは一人で背負うものではなく、制度やサービスを組み合わせて進める”チーム戦”です。介護のプロではない人が自らのリソースを常時介護に費やすというのは、心身の負担も大きくなり、介護を受ける方の安全性にも影響が及ぶことになりかねません。病気になったら病院でプロの治療を受けるように、介護も任せられる部分はプロに任せることが大切です。親族等の介護を担う介護者(仕事と介護を両立する当事者)自身にも自分の仕事や生活があります。実際に体を動かす介助等はプロに任せて、チームを調整していく役割を担うことをおすすめします。そのために、まずは”チーム戦”の要となる4つのチームについて紹介していきましょう。
2.介護を支える4つの「チーム」とは
(1)チーム①:「家族・親族」
自分が主体となって介護をする場合でも、兄弟など要介護者に近しい家族にもできることは協力してもらいましょう。家族の力を借りることは、介護の実態を把握してもらえる機会にもなり、家族間のトラブル回避に繋がります。
(2)チーム②:「医療・介護サービス」
医療・介護サービスを提供してくれるプロ集団のチームです。プロの力を十分に借りれば、より適切で迅速な介護が行われ、介護される側はもちろん、自分自身の負担もかなり軽減されます。
(3)チーム③:「行政・地域」
行政など要介護者の居住地にある「自治体や福祉」の支援や、ボランティアなど地域密着の支援です。見守りなど独自の細かい支援や、経済的にも力になってくれることが多く、頼りになります。まだ介護が始まっていなくとも、何か気がかりなことがある場合には、最寄りの「地域包括支援センター」に相談しましょう。
(4)チーム④:「会社・職場」
無理なく介護と仕事を両立していくために、育児介護休業制度を中心とした職場の両立支援制度を事前に把握しておくことが重要です。両立に不安があったら、上司や人事担当者に相談しましょう。
※出典:執筆者 介護離職防止対策促進機構 理事 飯野三紀子氏 提供資料をもとに作成(提供:2026年7月21日)
このように介護は自分一人で頑張るものではなく、それぞれのチームを上手に使っていく、マネジメントする力が必要になるのです。各チームの得意分野をどのように運用していくかで、継続的な介護が実現できるのです。
また、「医療・介護サービス」を利用する際は、サービス内容の決定や契約を担うキーパーソンが必要です。自分がその役割を担う場合は、「家族・親族」チームとの情報共有は欠かせません。介護は「誰が何をするか」を曖昧にしたまま進めると、家族間の認識のズレが生まれます。小さなことでも共有し、判断を一人で抱え込まないことが、ストレスを少なくし、安定した介護につながります。
3.「チーム」で介護すれば、仕事を両立できる可能性が広がる
では実際に、どのように「チーム」を動かすのか見ていきましょう。
例えば、介護が始まると、まず要介護認定の申請、ケアマネジャーとの面談、医療・介護サービス、福祉用具の選定や契約など、短期間に多くの手続きが集中します。この「医療・介護サービス」と「行政・地域」の手続きの際は、「家族・親族」と情報共有しながら、借りられる手は借りましょう。介護がスタートしたばかりの多忙期は、一人で抱え込むと仕事との両立が特に難しくなる時期です。ここで「会社・職場」の介護休業制度※や介護支援制度利用を申請し、一時的に活用することも、仕事と介護の両立をスムーズにします。
※仕事と介護を両立する体制を整えるための制度で、対象家族1人につき通算93日まで3回に分けて取得できます。例えば、介護開始直後に発生する認定申請や介護サービスの利用調整などの手続きに活用することもできます。
しかし、「チーム」で介護をしていても、仕事・家庭・介護の三つを同時に抱えると、どうしても整理が追いつかない時期が訪れます。そんな時こそ、このホームページにある「介護と仕事の両立応援窓口」など行政機関を活用しましょう。第三者に状況を話すことで頭の中の整理が進み、介護される方とのかかわり方や、自分自身の気持ちを整理するヒントが得られることもあります。介護は感情が絡みやすい領域だからこそ、第三者の専門家視点が、心の負担軽減に大きく役立ちます。
4.一人で悩まず、困ったときは相談窓口へ
介護と仕事の両立は、制度を知り、行政のサービスを使い、家族と協力し、必要な時にはプロに任せることで成り立ちます。「自分が頑張らなければ」という思い込みを手放し、相談窓口や専門家を頼ることは、決して弱さではなく、介護を続けるための賢い選択です。介護は一人で抱えるものではありません。困ったときは、相談窓口を活用し、制度と支援を上手に組み合わせれば、あなた自身の生活と仕事を守りながら、家族の介護を続けていくことができます。





